2007.12.04(Tue)
国道414号線、修善寺口より10キロほど下田街道を廻る。
平安の御世から、円頭山にのぼる美しい月の姿を人々は愛で、この地を月ヶ瀬と呼んだ。その美しい響き。木立ちに深く分け入っていけば行くほど、緑の香りは濃く、せせらぎは大きくなる。渓流沿いの出で湯。45度のアルカリ質、源泉は豊富な湯量で「聖の湯」の名で知られる。雄大な天城の山ふところにいだかれて、ひっそりと佇む山の宿。「月ヶ瀬」は山峡の一軒宿、大人の隠れ家に等しい。
山ひだが、まるで大切なものを守るように、ふところ深くにその宿を抱き、竹林の葉ずれの音や優しい瀬音がその情景を包む。その中で旅人は眠るのだ。
鮎、山女。うぐいの狩野川。
川端康成、梶井基次郎らがこよなく愛したこの地。かつては、湯ヶ島文士村とまで言われた文人墨客の里。大地は人に筆をとらさずにはいられなかった。私もこうしてペンを持つが、何も書く事がない。ただただ瀬音を聞き、酒に酔うて宙天の月を眺むのみ。人は心底休息を甘受するとき、なんの言葉ももたないのかもしてない。
美味と天城の深い人情に触れて。

(旅日記より抜粋)
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平安の御世から、円頭山にのぼる美しい月の姿を人々は愛で、この地を月ヶ瀬と呼んだ。その美しい響き。木立ちに深く分け入っていけば行くほど、緑の香りは濃く、せせらぎは大きくなる。渓流沿いの出で湯。45度のアルカリ質、源泉は豊富な湯量で「聖の湯」の名で知られる。雄大な天城の山ふところにいだかれて、ひっそりと佇む山の宿。「月ヶ瀬」は山峡の一軒宿、大人の隠れ家に等しい。
山ひだが、まるで大切なものを守るように、ふところ深くにその宿を抱き、竹林の葉ずれの音や優しい瀬音がその情景を包む。その中で旅人は眠るのだ。
鮎、山女。うぐいの狩野川。
川端康成、梶井基次郎らがこよなく愛したこの地。かつては、湯ヶ島文士村とまで言われた文人墨客の里。大地は人に筆をとらさずにはいられなかった。私もこうしてペンを持つが、何も書く事がない。ただただ瀬音を聞き、酒に酔うて宙天の月を眺むのみ。人は心底休息を甘受するとき、なんの言葉ももたないのかもしてない。
美味と天城の深い人情に触れて。

(旅日記より抜粋)
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